市政の動き−議会報告
【25.08.24】健康福祉常任委員会 茨城県境町を調査
財政難の自治体が生まれ変わる
境町の財政状況は、2017年の実質公債費比率15.5%(安城市1.0%同年)、将来負担比率127.6%(安城市0)と、北関東でワースト
1位の自治体でした。
※実質公債費率:地方公共団体の借入金(地方債)の返済額を、その団体の財政規模の割合で示したもの
※将来負担比率:地方公共団体が将来的に返済すべき借入金の大きさを示す指標
人口は1995年の2万7200人余をピークに右肩下がりとなり、このまま手を打たなければ
2025年に2万1700人にまで減少すると推計されていました。
2014年に就任した町長は、財政再建と人口増加政策、ひとの創生に力をいれ、現在は多くの他自治体や企業からの視察が相次ぐ、稼ぐ自治体となっています。
ふるさと納税の活用
今回の視察のテーマは「子育て支援の取組み」でしたが、町がアピールしたものは財政再建・財源確保のための手法でした。
財源確保としてふるさと納税で成果をあげている自治体を、町長をはじめ町議会議員全員で視察に出向き、システムを学び、真似をすることから始めました。各地を徹底的に視察し、改善につなげることを繰り返したことで、2013年に6万5000円(7件)だったふるさと納税寄付額が、2023年には99億3800万円(33万8400件)まで飛躍的に伸びました。
境町は国の交付金で干し芋やうなぎの加工工場を整備し、ふるさと納税の人気返礼品を生み出しました。施設運営はさかいまちづくり公社が引き受け、町へは月額50万円の家賃収入が入ってきます。
国や県の補助金を活用し施設を整備し、町が負担した整備費は、施設を貸し出した民間からの家賃収入で回収する「境町モデル」を打ち立てました。
小中学生をハワイへ派遣
ふるさと納税の寄附を財源に、子育て支援事業も充実しています。小中学校の給食費無料、20歳までの医療費無料、第2子の保育料半額補助、予防接種拡充事業等のほか、教育では、小学校卒業時に英検3級、中学校卒業時に2級レベルの英語力を身に着けることを目標に、全ての小中学校で先進英語教育を実施しています。英検の受験料は無料です。
夏休みには、子どもたちのさらなる英語力の向上や国際感覚を養うことを目的として、姉妹都市ハワイ州ホノルル市に小中学生の海外派遣事業を実施しており、無料で参加できます。2020年以前は、アルゼンチンや沖縄にも派遣をしていました。
25年間で戸建て住宅を譲渡
人口増加政策では移住促進にも力を入れており、移住者に対する奨励金や補助金も充実しています。
境町には鉄道がありません。1日8往復の高速バス(東京駅まで95分、王子駅まで60分)で、首都圏への通勤通学も可能です。学生には高速バス通学定期券の半額補助があります。
子育て世帯・新婚世帯を中心に境町への移住・定住を希望する方のため、PFI方式で賃貸住宅「アイレットハウス」を整備し、国の交付金と民間企業の資金や経営ノウハウ等を活用して建設・維持管理・運営を行っています。 25年間住み続けると、土地と家が無償譲渡される制度もあり、こうした政策がメディア等で取り上げられ、2025年2月「住みたい田舎」ベストランキングに選ばれています。
先進事例から学ぶ姿勢は評価
健康福祉常任委員会として、境町の子育て支援を学ぶために訪れたのですが、テーマと異なる内容でした。先進事例に学び、住民負担を少なく最大のサービスする姿勢は評価できますが、自治体規模や状況が大きく異なり、行政と民間の在り方、ふるさと納税制度、交付金の使い方等疑問に思うことも多くありました。訪れなければ内容が分からないこともありますが、視察先は安城市政における問題を解決するための参考になる自治体であるべきです。
町を走る無料の自動運転バス
境町では、ソフトバンク株式会社の子会社であるBOLDLY株式会社及び株式会社マクニカの協力のもと、自動運転バスを3台導入し、生活路線バスとして定時・定路線での運行を令和2年11月から開始しています。乗車定員はオペレーターを含め11人で、運賃は無料です。
第1ルート:「道の駅さかい」と、温水プールや入浴施設、スポーツ施設などを備えた「猿島コミュニティセンター」をつなぎます。
第2ルート:高速バスを利用する方が自動運転バスに乗り換え、町内を回遊し、「道の駅さかい」へ繋ぎます。
第3ルート:温泉施設も備えたショッピングセンターから住宅街を経由し、高速バスのターミナルへと繋ぎます。

